復職で「気まずい」は当たり前。負い目を消し再発を防ぐ方法

復職後の職場で落ち着きを取り戻す女性の姿 適応障害・休職から復職へ

復職初日、部下の目に映る心配と上司の気遣い。その優しさが、かえって「成果を出せていない自分」への罪悪感を強めていく。

私は、中間管理職として適応障害から復職した際、この「職場での気まずさ」に苦しみました。給与を受け取りながら最低限の業務しかこなせない。部下には申し訳なく、上司には「また迷惑をかけるかも」という不安が離れませんでした。

でも、焦って以前のように振る舞う必要はありません。
この記事では、中間管理職特有の「負い目」を抱えながらも、再発を防ぎつつ職場に戻る3つの実践行動をお伝えします。

中間管理職の復職が特に気まずい理由

給与と成果のギャップが生む負い目

中間管理職の復職が一般社員より気まずいのは、「立場と実態のズレ」が可視化されるからです。

  • 管理職として給与を受け取っている
  • でも部下のマネジメントは十分にできない
  • 自分の業務も最低限しかこなせない
  • 周囲が気を遣うほど「申し訳ない」が強まる

管理職という立場が、休職からの復職後にかかるプレッシャーを増大させ、再発リスクを高める可能性が指摘されています(※出典:厚生労働省 手引き等より)。理由は「責任感からの過剰適応」と「周囲への遠慮」です。

私も復職2週間目、部下から「〇〇さん、無理しないでください」と声をかけられた瞬間、「自分は部下に心配される立場になってしまった」という屈辱感に襲われました。

周囲が腫れ物扱いする心理

同僚や部下が距離を置くのは、悪意ではなく「どう接したらいいか分からない」という戸惑いです。

  • 「また体調を崩されたら、自分の責任になる」
  • 「何を言ったら傷つけてしまうのか」
  • 「業務を振っていいのか判断できない」

感情や心理学の研究では、不安・緊張が高まった状況下で、人が他者との距離をとろうとする傾向が観察されています。(例:対人距離を扱った実験研究 他)
つまり「気まずさ」は双方向で生まれているのです。あなただけが感じているわけではありません。

ポイント: 気まずさは自分を守る自然な防衛反応。焦って明るく振る舞う必要はありません。

再発を防ぎながら関係を取り戻す3つの実践行動

手帳に日記を書く女性の手元

①非言語コミュニケーションで安心を伝える

無理に話さなくても、目を合わせて軽く会釈するだけで周囲は安心します。

私が実践したのは以下の3つ

  • 朝の挨拶は「おはようございます」の一言だけ
  • 目が合ったら軽く会釈(無理に笑顔を作らない)
  • すれ違う時に「お疲れ様です」と短く

ある実験では、言葉そのものよりも、声のトーンや表情・身体の動きが、気持ちや態度を判断する上で、より影響を与えたという報告があります(例:Mehrabian 7-38-55比率)。ただし、この比率は言葉・声・身体の三者が矛盾する感情表現の場面に限ったものですので、一般のコミュニケーション全体に、そのまま適用できるわけではありません。
完璧な会話より、存在を示す小さなサインの方が効果的なのです。

②「話しかけられる側」になる戦略

無理に自分から話しかけようとせず、「話しかけられる側」を意識すると心の負担が減ります。

具体的には:

  • デスクで作業中、イヤホンを外しておく
  • 昼休みは端ではなく、やや中央寄りに座る
  • 忙しそうなオーラを出さない

私の場合、復職2週間目に部下から「この資料、確認してもらえますか?」と普通に話しかけられた瞬間、「ああ、まだチームの一員なんだ」とほっとしました。

③感情記録で回復を見える化する

小さなノートに「今日起きた良いこと」を1行だけ書く習慣が、焦りをやわらげてくれました。

例えば:

  • 「今日は少し笑えた」
  • 「昼休みに同僚と目が合って会釈できた」
  • 「定時で帰れた」

感情を記録するセルフモニタリングは、心理的な再調整を助ける技法として、研究でも支持されています。(例:12週間のウェブ版ジャーナリング介入でストレスや心理的苦痛が低下したという報告もあります)
まず 2週間を目安に、小さな記録を継続してみるのはどうでしょう。それによって、前に進んでいる実感を感じる方もいらっしゃると思います。

【関連記事】
復職初日の不安を軽減する具体的な手順は、復職初日を落ち着いて過ごす手順で詳しく解説しています。

職場との適切な距離感を保つ4つのルール

①業務共有を軸に雑談は後回し

最初から雑談を再開するより、業務に関する会話を中心にすると楽です。

  • 「この案件、進捗どうですか?」
  • 「例の資料、確認してもらえますか?」

仕事の話は安全な領域であり、徐々に関係を再構築しやすいのです。雑談は、相手から話しかけられた時に短く応じる程度でOKです。

②信頼できる「ひとり」を見つける

職場の全員に理解されなくても、ひとり味方がいるだけで世界は変わります。

私の場合、以前の上司に「戻ってきてくれてうれしい」と言われた瞬間、心がほどけるような安堵を感じました。

信頼できる人の見つけ方:

  1. 復職前に産業医や人事から情報収集
  2. 過去に自分を評価してくれた人
  3. 同じような経験をした人

この「ひとり」に、週1回でも短く近況報告するだけで孤独感は大きく減ります。

ポイント: 信頼できる人をひとり見つけることで、孤独感は大きく減ります。

③ランチはひとりでもいい

復職直後は「昼休みも同僚と一緒にいなきゃ」と思いがちですが、無理に合わせる必要はありません。

  • ひとりでゆっくり食べる時間も、立派なセルフケア
  • 「今日はちょっと用事があって」と断ってOK
  • 週1回だけ参加、という頻度でも十分

私は復職後2か月間、ほぼひとりでランチを取っていました。それが「自分のペースを守る」という安心感につながり、午後の仕事に集中できたのです。

④飲み会は「体調次第」で断る勇気

「飲みニケーション」を、無理にこなす必要はありません。

断る時のフレーズ:

  • 「今日は少し疲れているので、早めに帰ります」
  • 「体調管理のひとつで、しばらく控えています」
  • 「また次回、ぜひ誘ってください」

厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、復職直後、あらゆる業務量や社交的な負荷を見直すよう推奨されており、例えば、残業・深夜勤務・出張の制限などの配慮が挙げられています。社交面でも無理な関わりを避け、まずは業務安定を優先することが実務現場では指導されています。

復職3か月チェックリスト|今の自分を確認しよう

復職から3か月経った時点で、以下をチェックしてみてください。

チェック項目できているまだ難しい
朝の挨拶ができる
業務の報告・相談ができる
定時退社を週3回以上できている
信頼できる人に近況を話せる
昼休みにリラックスできる
週末に十分休めている
感情記録を続けている

「できている」が5つ以上なら、順調に回復しています。4つ以下の場合は、産業医や人事に相談し、業務量の調整を検討しましょう。

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時短勤務からの段階的な復職については、時短勤務からの復職ステップで詳しく解説しています。

やらないことリスト|無理な努力が再発を招く

復職後は「頑張らなきゃ」という焦りから、かえって自分を追い込んでしまいがちです。
以下の「やらないこと」を守るだけで、再発リスクは大きく下がります。

やらないことリスト(復職3か月間)

やらないことリスト(復職3か月間)理由・ポイント
残業は週5時間までそれ以上は断る勇気を持つ。体調優先が回復の第一歩。
休日出勤は絶対にしない「今だけ」と思っても習慣化しやすい。完全休養日を確保。
全員に好かれようとしない味方はひとりいれば十分。人間関係の負担を減らす。
完璧を目指さない70点で合格ラインと割り切る。小さな達成を積み重ねよう。
飲み会は月1回まで体調優先で断る勇気を。無理な社交は回復の妨げに。
他人と比較しない回復ペースは人それぞれ。焦らず自分のペースを守る。

私自身、復職当初は「早く以前の自分に戻らなきゃ」と焦り、残業や休日出勤を重ねて再発寸前まで追い込まれました。
「やらないこと」を決めた瞬間、心がふっと軽くなりました。

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中間管理職特有のストレス対策については、中間管理職のストレス対策で詳しく解説しています。

よくある質問

Q1. 復職後どのくらいで気まずさは消えますか?

A. 個人差はありますが、復職から2〜3か月で徐々にやわらぐケースが多いです。ただし焦りは禁物。「気まずさが消える」ではなく「気にならなくなる」という感覚の変化に注目してください。

Q2. 復職後の挨拶はどこまですべき?

A. 「おはようございます」「お疲れ様です」の2つだけで十分です。無理に全員と会話する必要はありません。目が合った人に短く挨拶するだけで、「この人は戻ってきた」というサインになります。
私の場合、最初の1か月は挨拶だけに集中し、雑談は相手から話しかけられた時だけ応じていました。

Q3. 同僚に病名を伝えるべきですか?

A. 伝える義務はありません。信頼できる人にだけ、自分のタイミングで伝えればOKです。
私は、直属の上司と人事にだけ伝え、他の同僚には「体調不良で休んでいました」とだけ説明しました。
病名を伝えることで理解が得られるケースもありますが、偏見やプライバシーの問題もあるため、無理に公表する必要はありません。

Q4. 復職後、ランチは一人で食べていいですか?

A. 復職後2〜3か月は、ひとりランチを推奨します。
昼休みは心を休める貴重な時間。無理に同僚と合わせて会話のストレスを抱えるより、ひとりでリラックスする方が午後のパフォーマンスが上がります。「今日はちょっと用事があって」と断るだけで角は立ちません。

Q5. 飲み会の誘いは断っていい?

A. もちろんです。体調管理を優先して断ることは、社会人として正しい判断です。

断る時のポイント:

  • 「体調管理の一環で控えています」と理由を明確に
  • 「また次回、ぜひ」と前向きな言葉を添える
  • 罪悪感を持たない

Q6. 中間管理職として、部下にどう接すればいい?

A. 最初の1〜2か月は「見守る役」に徹してOKです。
無理にマネジメントしようとせず、以下を意識:

  • 部下の報告を「聞く」ことに集中
  • 決定は上司に相談しながら進める
  • 「今はリハビリ期間」と自分に言い聞かせる

私の場合、復職2か月目に部下から「〇〇さんに相談できて助かります」と言われ、「聞く」だけでも価値があることに気づきました。

まとめ:ゆるいつながりが、長く働ける土台になる

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適応障害で休職・復職を経験した筆者が、うつなど心の不調を抱える方にも役立つよう、体験をもとにまとめています。

気まずさは、過去の自分を責めるサインではなく、これからの自分を守るサインです。
完璧じゃなくていい。少しずつ笑顔が戻る日々の中で、あなたのペースを大切にしてほしいと思います。

今日からできる3つのステップ:
明日の朝、誰かひとりに会釈してみる
今日起きた「良いこと」を1行だけノートに書く
「やらないことリスト」を手帳に書き写す

焦らなくても、あなたの居場所はちゃんとあります。

早く以前のように振る舞おうとするより、「ゆるいつながり」を保つほうが、結果的に再発を防ぎ、長く働き続けることにつながるのです。

※本記事は筆者の体験と公的情報(厚労省・自治体資料など)をもとに構成しています。医療的な判断や治療方針については、主治医・産業医などの専門家にご相談ください。

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