【適応障害の初期症状】仕事を続けるか休むか迷ったときの判断基準と対処法

tekioshogai-symptom.jpg 適応障害から復職へ

「会社のことを考えるだけで涙が出る」
「夜中に何度も目が覚めて、心臓がバクバクする」
「上司との面談が憂鬱で、電車に乗るのも辛い」

もしこれらの症状に心当たりがあるなら
それは単なる
「忙しさ」や「疲れ」ではないかもしれません。

私は、会社員として働いていた頃
これらの症状を「一時的なもの」と軽視した結果
適応障害による休職に至りました。

▶ 適応障害の初期症状を見逃さない:休職前に出たサイン

しかし適切な対処と働き方の見直しにより
現在は以前より
充実したキャリアを築いています。

この記事では、私の実体験をもとに
適応障害の初期症状から復職までの道筋
そして働きながら実践できるセルフケア戦略
具体的にお伝えします。

同じ悩みを抱える方が、私のように悪化する前に
適切な対処ができることを心から願っています。

厚生労働省の調査によると
精神障害による労災請求件数は年々増加しており
特に、働き盛り世代での発症が目立ちます。

【早期発見】適応障害の初期症状チェックリスト

私の体験と専門機関の情報をもとに
症状を段階別にまとめました。

初期段階(身体症状中心)

症状 詳細・補足
夜中に目が覚める 特に午前2〜4時に目覚めることが多い
出勤前の動悸・胸の圧迫感 朝起きた時や通勤前に心臓がバクバクする
原因不明の頭痛 週3回以上、原因が特定できない頭痛が続く
食欲不振・胃の不調 食欲がわかない、胃が重い・痛いなど
口内炎の反復発生 治ってもすぐに再発する、複数できることも
慢性的な肩こり・首こり マッサージしてもすぐ再発、強いこり感

 

中期段階(心理・行動症状)

症状 詳細・補足
異常なイライラ・怒りっぽさ ささいなことで怒りが爆発する、感情がコントロールできない
朝「会社に行きたくない」と強く思う 出勤準備の時点で強い拒否感がある
休日も仕事のことが頭から離れない 休んでいても仕事や職場のことを考え続けてしまう
集中力・決断力の著しい低下 ミスが増える、判断に時間がかかる
趣味への興味完全消失 好きだったことに全く関心が持てない
同僚との会話を避ける 昼休みや雑談を避けて孤立しがちになる

重症段階(日常生活への支障)

症状 詳細・補足
出勤前に理由もなく涙が出る 朝の支度中に涙が止まらない、嗚咽が出る
電車に乗るのが辛い 通勤電車に乗ると動悸・吐き気・めまいが出る
会社の最寄り駅で体が動かない 駅から出られない、足がすくんで動けない
欠勤・遅刻の頻度増加 連絡するのも負担になり、欠勤が続く

▼ 判定基準

  • 初期段階で3つ以上:早期の環境調整を推奨
  • 中期段階で3つ以上:専門機関の受診を推奨
  • 重症段階で1つ以上:即座に専門医療機関へ

 【体験ベース】適応障害セルフチェック|心のサイン

私が見逃した身体からのSOS:最初の異変と見落とし

最初は「体」に現れたサイン

私の適応障害は
心の症状よりも身体の不調から始まりました。

当時の症状:

  • 夜中に突然目が覚める(午前2-4時が多い)
  • ベッドに入っても心臓がバクバクして眠れない
  • 喉にボールが詰まったような違和感
  • 口内炎が2-3個同時に発生し、治っても繰り返す
  • 片頭痛が週に3-4回発生

病院を転々とした結果

症状改善を求めて複数の診療科を受診しました。

受診した診療科と検査内容:

  • 歯科:口内炎の治療
  • 内科:心電図、胸部レントゲン、血液検査
  • 消化器内科:胃カメラ検査
  • 耳鼻咽喉科:喉の違和感の精査

結果:すべて「異常なし」「原因不明」

どの医師からも「ストレスが原因では?」と
言われましたが、当時の私は
「自分は精神的に強い」
「中間管理職として弱音は吐けない」
と思い込み、その可能性を否定していました。

なぜ気づけなかった?心のSOS:転機となった家族の言葉

婦人科での気づき

40代という年齢から
更年期を疑い婦人科を受診しました。

検査結果:

  • ホルモン値は正常範囲内
  • 更年期による症状の可能性は低い

婦人科医から告げられた言葉は

「心理的なストレスが、身体症状として
現れている可能性が高いです。
心療内科の受診をお勧めします。」

この適切な判断が
私の人生を変える転機となりました。
このドクターには
今でもとても感謝しています。

決定的だった家族の指摘

それでも、心療内科の受診をためらっていた私に
夫が投げかけた言葉:

「最近、イライラがひどいよ。
夜も眠れてないみたいだし、様子がおかしい。
一度、病院で診てもらった方がいいんじゃない?」

家族に指摘されて初めて気づいた症状:

  • 些細なことで激怒する
  • 出勤前になると理由もなく涙が出る
  • 好きだった読書に全く興味が湧かない

客観的な視点の重要性を痛感しました。

【実録】春まで我慢」招いた症状悪化の全貌

人事との約束への期待

心療内科受診を検討していた頃
人事から
「春の異動で部署変更予定」と連絡がありました。

私は
「環境が変われば改善する」
「あと数ヶ月我慢すればいい」
と前向きに考え
根本的な対策を先延ばしにしました
これが最大の間違いでした。

症状の段階的悪化

悪化の経過:

時期 主な症状 詳細・具体例
1ヶ月後:通勤時の身体症状 動悸・吐き気 電車内で頻発、冷や汗が出ることが増える
2ヶ月後:行動回避の開始 回避行動 会社の最寄り駅で足が重くなる、エレベーター恐怖
3ヶ月後:感情コントロール不能 感情の不安定化 出勤時に涙が止まらない、会議中に泣きそうになる
休職直前:完全な機能停止 通勤困難 電車に乗れない、駅のホームで立ちすくむ

 

人事異動の現実

春の人事面談で告げられた言葉:
「異動先に空きがありませんでした。
もう少し頑張っていただけませんか?」

この瞬間、私の心は完全に折れました。
翌日から、出社不可能となりました。

▶ 適応障害と診断されるまで|パワハラ上司と人事の裏切り

働きながらできる適応障害対【今日から実践編】

私の失敗を踏まえ
働きながら実践できる対策をまとめました。

セルフケア戦略

朝のルーティン(所要時間15分)

  1. 深呼吸法(5分):呼吸法で自律神経を整える
  2. 感謝日記(5分):3つの感謝できることを書く
  3. 今日の目標設定(5分):達成可能な小さな目標を1つ

🌙 夜のルーティン(所要時間20分)

  1. デジタルデトックス:就寝1時間前からスマホOFF
  2. 振り返り記録(10分):今日の気持ちを5段階で評価
  3. リラクゼーション(10分):軽いストレッチやアロマ

職場でのストレス軽減テクニック

即実践可能な方法:

優先順位の明確化

  • 重要度×緊急度のマトリックスで業務整理
  • 一日3つまでの重要タスクに絞る

境界線の設定

  • 定時退社の日を週2回設定
  • 昼休みは必ず席を離れる

 コミュニケーション戦略

  • 「検討します」で即答回避
  • メールでの依頼は一晩考えてから返信

やらないことリストとアウトソース活用法

回復期間中
「やらないこと」を明確化することが重要です。

やらないことリスト

カテゴリ やらないこと チェック
仕事編 定時後の新規業務受注
休日出勤(緊急時以外)
完璧主義的な資料作成
他部署の問題への過度な介入
SNSでの業界情報収集
プライベート編 義理での飲み会参加
深夜までのスマホ使用
ニュースの過度な視聴
他人との比較思考
休日の予定詰め込み

アウトソース比較表

サービス分野 業者例 月額目安 効果 おすすめ度
家事代行 ダスキン、ベアーズ 8,000-15,000円 ★★★★★ 最優先
食材宅配 オイシックス、コープ 5,000-10,000円 ★★★★☆ 推奨
クリーニング宅配 リナビス、せんたく便 3,000-5,000円 ★★★☆☆ 検討
書類作成 クラウドワークス 案件による ★★★★☆ 業務次第
心理カウンセリング EAP、オンライン 5,000-8,000円/回 ★★★★★ 必須
 アウトソース導入のコツ
小さく始める:まず1つのサービスから
費用対効果を計算:時給換算で考える
家族の理解を得る:投資として説明

二度と潰れないための復職プランと新しい働き方

段階的復職プラン

私が実践した復職までのステップです。

フェーズ 期間目安 主な行動 ポイント
 治療専念期 2〜3ヶ月 ・週1回のカウンセリング受診
・規則正しい生活リズムの構築
・散歩など軽い運動習慣開始
まずは心身の回復を最優先
睡眠と食事のリズムを整えることからスタート
準備期 1〜2ヶ月 ・職場復帰支援プログラム参加
・段階的な外出活動の増加・集中力回復訓練
外出や簡単な作業で社会復帰のウォーミングアップを行う時期
試験出勤期 約1ヶ月 ・週2〜3日の短時間出勤
・負荷の軽い業務から開始・産業医面談
無理をせず徐々に職場リズムへ。不調サインを早めに共有する
本格復職期 個人差あり ・フルタイム勤務への移行
・新しい働き方の実践・セルフケア継続
復職後も再発予防を意識。定期的な振り返りで調整を続ける

▶適応障害休職直後の私の状況
▶休職中期(回復期)の過ごし方

新しい働き方の構築

働き方改革の実践例

カテゴリ 具体的アクション ポイント
時間管理の見直し ・朝型勤務への移行(7:30-16:30)
・ノー会議デーを週1日設定
・午前中2時間の集中時間を確保
朝の集中力を活かして生産性最大化、会議と作業のメリハリをつける
業務スタイルの変更 ・在宅勤務を週2日活用
・チーム制で業務分散
・定期1on1で早期課題発見
負担を分散し、孤立せずに課題を共有できる仕組み作り
キャリア観の転換 ・持続可能性を最優先
・成果主義からプロセス重視へ
長期的視点でキャリアを設計し、再発防止とやりがい両立を目指す

よくある質問(FAQ)

Q1: 適応障害と診断されたら必ず休職が必要ですか?

A1: 必ずしも必要というわけではありません。

症状の程度や職場環境により対応は変わります。
軽度の場合は環境調整働き方の見直し
改善することも多くあります。

環境調整の例:

  • 業務量の調整
  • 配置転換
  • 勤務時間の短縮
  • 在宅勤務の活用

重要なのは早期の専門機関受診により
適切な対処方針を決めることです。

Q2: 会社にメンタルヘルスの問題を伝えるべきか迷っています

A2: 段階的なアプローチをおすすめします。

Step 1: まず産業医やカウンセラーに相談
Step 2: 信頼できる上司に体調面での配慮を相談
Step 3: 必要に応じて人事に環境調整を相談

伝え方のポイント:

  • 「体調管理のため」という表現を使用
  • 具体的な配慮事項を明確化
  • 業務継続への意欲を併せて伝達

現在は、メンタルヘルス対策
企業の義務となっており、適切に相談すれば
支援を受けられる環境が整っています³。

Q3: 復職後に再発しないか不安です

A3: 不安は自然な感情ですが
適切な予防策により再発リスクを大幅に減らせます。

▶復職直前に押し寄せた不安と向き合う方法

再発予防の3本柱:

具体的アクション ポイント
1. セルフモニタリング ・毎日の気分を5段階で記録
・睡眠時間・質の管理・ストレス源の早期発見
日々の変化を見える化し、悪化のサインを早期発見
2. 環境調整の継続 ・定期的な業務見直し
・上司との定期面談・職場復帰支援プログラムの活用
無理を溜め込まず、働く環境を柔軟に調整
3. 専門家との継続的関係 ・月1回のカウンセリング継続
・産業医との定期面談・EAPの活用
専門家とつながり続けることで、再発防止の安心感を確保

私自身、復職から3年以上経過していますが
これらの対策により
安定したキャリアを継続できています。

まとめ:持続可能なキャリアのために今できること

重要なのは症状を軽視せず
早期に適切な対処を行うことです。

今日から実践できる3つのステップ:

Step 1: 現状把握

  • 本記事のチェックリストで症状確認
  • 信頼できる人に客観的意見を求める
  • 必要に応じて専門機関を受診

Step 2: 環境調整

  • 職場での境界線設定
  • セルフケアルーティンの構築
  • やらないことリストの作成

Step 3: 支援体制構築

  • 家族・職場での理解促進
  • 専門家との継続的関係構築
  • 制度・サービスの積極的活用

あなたのキャリアは
今の症状がすべてではありません。

適切な対処により、以前より充実した
仕事人生を送ることは十分に可能です。

一人で抱え込まず
まずは小さな一歩から始めてください。

それでも会社で働くことが辛い時は
独立起業してみるのも、選択肢のひとつです

参考文献・関連リンク

¹ 厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策」
² 厚生労働省「精神障害に関する事案の労災補償状況」令和4年度
³ 労働安全衛生法第66条の10「ストレスチェック制度」

 

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